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知的財産関連ブログ / エブリデイ IP:ポッドキャスティングの歴史(これまで)

エブリデイ IP:ポッドキャスティングの歴史(これまで)

インターネットが現代文化に溶け込むにつれ、その有用性は、ラジオのような既存メディアをどのように受信し、どのように相互作用するかをも変化しました。今日、ポッドキャスティングは、インターネットベースのエピソード型ラジオをはるかに超えるものであり、知的財産(IP)の壮大な物語の中で独自の章を築いています。

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2000年代半ばにポッドキャストが登場し、広大な未開拓のメディア領域を前に,この新しいニッチを埋めるために急速に拡大しました。その題材と形式は、時事問題から旅行記やコメディまで、多岐に渡るものでした。

ポッドキャストは、その制作品質や内容にはまだ大きなばらつきがあるものの、今やその数は数百万にのぼります。ポッドキャスティング情報データベースListen Notesによると、2022年後半の時点で、約300万のポッドキャスト (approximately 3 million podcasts)がさまざまなプラットフォームやウェブサイトでストリーミングやダウンロードが可能であることが分かっているそうです。今回のまいにちIPでは、ポッドキャストがどのように成長したかを確認し、IPとしての価値、およびIP紛争がどのように発生し得るかを取り上げます。

電波からRSSへ:ポッドキャストの黎明期

ポッドキャストは、その配信システムがラジオと異なります。ラジオは地上波や衛星電波を使ってコンテンツを配信しますが、ポッドキャストはRSSウェブフィードを使用します。RSS技術は、ウェブサイトの更新情報を自動的に収集するために2000年代初頭に導入され、現在でもニュースフィードの収集に使われていますが、主にポッドキャストのリスナー向けにオーディオアプリにファイルを配信するフォーマットとして知られています。デイヴ・ウィナーは2000年にこの機能をRSSに追加 (added this capability to RSS in 2000)しました。

その後数年の間に、最初のポッドキャストが出現し始め、2005年にアップルがiTunesの音楽とビデオのマーケットプレイスにポッドキャストのディレクトリを追加したことがきっかけで、ポッドキャストが活気づきました。初期のポッドキャスト開発において技術愛好家が果たした役割を考えれば、”Daily Source Code”や”This Week in Tech”(後者は現在、複数のポッドキャストネットワークの旗艦番組)など、初期の著名ポッドキャストが技術分野に特化していたことは驚くにはあたりません。

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ポッドキャストのフォーマットを最初に採用したのは、コンピュータが趣味の人、コーダーや技術者たちでした。しかし、スマートフォン革命によって、この新しいメディアが一般大衆の手と耳に届くようになるのに、それほど時間はかかりませんでした。

当然ながら,他のポッドキャストやポッドキャスターの先駆者は,ラジオ局出身者です。ジャーナリスティックな公共ラジオ番組“Radiolab”と”This American Life”は、ポッドキャストとしてエピソードをリリースし始めたとき、その焦点を変えませんでしたが、ストーリーを提示するために複数のナレーターや非物語世界の音楽を追加するというフォーマットを使用しました。対照的に、元ラジオジャーナリストのダン・カーリンの番組"Hardcore History"は、彼の声と微妙な音響効果しか使っていませんが、ポエニ戦争から1534-1535年のミュンスターの反乱までの複雑な歴史的テーマについて心をわし掴みにする物語(最終的には数時間のエピソードになる)を作り出しました。3つの番組はいずれも2000年代半ばから制作され、数百万ダウンロードを記録し、史上最高のポッドキャスト (best podcasts)リスト (multiple lists)に何度も登場しています。

知的財産権の問題が浮上

確立された事業者がなく、放送の規制もまったくなかった (total lack of broadcasting regulation)ため、ポッドキャスティングの最初の数年間は「ワイルド・ウェスト、何でもあり」の精神が蔓延し、現在もある程度はこの精神が残っていると言えるでしょう。これは、このメディアに適用される初期の用語にも反映されています。英国のジャーナリスト、ベン・ハマスレーは、『ガーディアン』紙の2004年の記事で「ポッドキャスト」という言葉を作った (coined the term "podcast")と広く知られているが、彼の他の2つの提案は、おそらくそれほどキャッチーではないものの、その時代の時代精神を確実に表したものでした。“Audioblogging“はより個人的で日常的なコンテンツ,”GuerillaMedia”(原文ママ)は従来の放送の監視や基準に対する反抗的な態度を示していました。

表向きは”iPod”と”broadcast”の合成語だが、ポッドキャストが知財の世界を困惑させるのに、さほど時間はかかりませんでした。2006年以降、アップルは、メディアプレーヤーアプリのMyPodderなど、組織名や製品名に”pod”を使用している企業に対して複数の停止命令書 (filed multiple cease-and-desist letters)を提出しました。アップル社は、これらの名称がiPodの商標を侵害していると主張しました。

アップルはまた、"pod "を商標登録しようとし(そして失敗し (and failed))ましたが、"podcast "を商標登録しようとしたことはありません。彼らの運は、2005年にそうしようとした (tried doing so)無名のLLCより少しマシだった可能性が高いでしょう。米国特許商標庁(USPTO)は、この用語に関するウィキペディアの項目と、申請された商標が単純な説明である (the proposed mark's mere descriptiveness)ことを主な理由として、この申請を却下しました。

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"podcast "がUSPTOによって記述的であるとみなされ、一般的な用語 (a generic term)となるまでには、わずか1年程度しかかかりませんでした。このことは、新語や革新的な製品の商標権をできるだけ早く取得することの重要性を浮き彫りにしています。

2010年代初頭、Personal Audioという会社が、ポッドキャスティングに関する疑わしい特許をめぐって、著名なポッドキャスターに数年間にわたり嫌がらせをしました。USPTOは、当事者間レビューの結果、2014年にこの特許の5つの条項を無効 (invalidated five of the patent's provisions)とし、事実上特許を消滅させました。それ以来、さまざまなポッドキャスターが番組名を商標登録し、時には "podcast "という単語も含めているが、単に "podcast "や "podcasting "の商標登録に成功したものはありません。(ここで、ポッドキャストの録音自体が著作権法で保護されていることも指摘しておかなければなりません。)

ポッドキャストの爆発的な普及

2014年後半にはポッドキャストが人気を博し、実話(”The Moth”)と架空の物語(”Welcome to Night Vale”)の両方を軸にした物語番組が人気を博していました。しかし、単純な会話ベースの番組(共同司会者同士、または司会者が交代でインタビューに応じる)であっても、大きな持久力がありました。

ポッドキャストはすでにメインストリームに定着しており、COVID-19のパンデミック時に世界中で経験したロックダウンが、その生産と消費を最高値に押し上げたことは意外なことではありません。Listen Notesによると、2020年には前年の約3倍にあたる100万以上のポッドキャストが、2021年には726,000以上のポッドキャストが、登場しました。

豊富なIPのチャンス

最近では、ハリウッドのスキャンダルから企業の不正、カントリーミュージックの歴史まで、思いつく限りのトピックを網羅したポッドキャストが存在する可能性が高いでしょう。しかし、このメディアがライセンスとIPの機会を増やしていることは、その成功のさらなる証と言えるでしょうか。

人気のあるポッドキャストの多くは、衣類、マグカップ、トートバッグなどのブランド商品を販売しています。また、テレビシリーズ化されたものもあります(“The Dropout”, “Homecoming”)。こうして民主化され、既存のメディアを破壊するスピンオフとして始まったポッドキャストは、約20年後に完全に企業化された市場として、スポンサーや公認、視聴者の支持を得て成熟したのです。

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今日、ポッドキャストは、より広範なインターネットの風景の一部としてしっかりと定着し、地下プロダクションからより大きなビジネスへと発展しています。このため、ポッドキャストに関連するIPは、伝統的なメディアのIPと同じくらい重要なものとなっています。

このような変化にもかかわらず、ポッドキャストのIP保護に関する考え方は、依然として旧来の黎明期から抜け出せずにいます。特に、ポッドキャスト名の商標登録に無頓着なアプローチは、小規模なクリエイターを蚊帳の外に追いやってしまう可能性があります。

英国で最近起こった2つの事例 (recent examples from the United Kingdom)は、知的財産権に対する悪魔のようなアプローチの危険性を示しています。一つ目の、モデルのエミリー・ラタコウスキーの新しい3週連続ポッドキャスト“High Low with Emrata”は、ドリー・オルダートンとパンドラ・サイクスによる以前のシリーズ“The High Low”に名前とコンセプトが少なからず類似しています。しかし、以前のポッドキャストの商標登録がされていない上に、最近の活動を休止していることにより、2人が2017年から2020年にかけて築いたブランド認知を活かそうすると、茨の道を避けることはできないでしょう。

一方、シドニー・リマとジッツィ・アースキンは、自分たちのシリーズ”Sex, Lies & DM Slides”の名前の商標登録を音楽ストリーミングサービスのSpotifyに任せましたが、商標承認のインクが乾く前にプレゼンターの立場を追い出されてしまいました。その結果、二人で作り上げたブランドの所有権を失ってしまったのです。

バックエンド・ビジネスの面では、ニューヨーク・タイムズ紙が”Serial”の制作会社を2500万ドルで買収 ($25-million USD acquisition)したことが、従来のメディア企業がポッドキャストのIPをいかに価値あるものと考えているかを例示しています。また、このトピックでは、ある例が傑出しています。2020年、Spotifyは1億ドルを投じて、物議を醸しながらも絶大な人気を誇るジョー・ローガンのポッドキャストと複数年の独占契約 (multi-year exclusive deal)を結びました。1話あたりのリスナーは1100万人 (11 million listeners per episode)と推定され、Spotifyが2億ドル以上費やしたとされる金額 (alleged spending of north of $200 million USD)でさえ、その価値があるように思われます。

ポッドキャストのブランド要素を保護したり、ライセンス機会を探したりする場合、デンネマイヤーの知財専門家がガイドを務めます。デンネマイヤー独自のポッドキャスト“Key to IP”は、その手始めとして最適です。

“Key to IP”は、デンネマイヤーの知財エキスパートや業界の著名人が、新技術、無形資産管理戦略、業界を揺るがす法律問題などのテーマについて議論する番組です。Apple PodcastsSpotifyGoogle Podcastsなどの主要プラットフォームでも聴くことができます。

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